安全運転管理者とは?資格要件・設置義務・業務内容について解説

公開日:2025/11/15
安全運転管理者 内容

企業が一定台数以上の自動車を保有する場合、安全運転管理者の選任が法律で義務付けられています。この制度は交通事故の防止と従業員の安全確保を目的として設けられており、選任された管理者には運転者への指導や車両管理など重要な役割が課せられます。本記事では、安全運転管理者の資格要件から業務内容まで詳しく解説していきます。

安全運転管理者の資格要件

安全運転管理者になるためには、道路交通法施行規則で定められた要件を満たす必要があります。

年齢要件

まず年齢については20歳以上であることが必須条件となっており、これは管理者として適切な判断力と責任感を持つために設定された基準といえるでしょう。

運転経験

運転経験に関しては、自動車の運転管理に関する実務経験が2年以上必要とされています。ただし、公安委員会が行う教習を修了した場合は、この実務経験を1年に短縮することが可能となっており、より早期に資格要件を満たすことができる仕組みが整備されているのが特徴的です。

欠格事由

過去に特定の違反歴がある場合は選任できません。具体的には、過去2年以内に公安委員会の安全運転管理者等の解任命令を受けた者、または過去2年以内に次の違反行為をした者は欠格事由に該当します。

ひき逃げ、酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転、無免許運転、妨害運転などの重大違反がこれに含まれており、交通安全に対する高い意識と実践が求められていることがわかります。

副安全運転管理者の資格

副安全運転管理者を選任する場合も同様の資格要件が適用されますが、年齢要件のみ20歳以上と正管理者と同じ基準が設定されています。これらの要件は、単に形式的なものではなく、実際に従業員の安全運転を指導し、事故防止に取り組むための最低限の資質を確保するために設けられた重要な基準となっています。

企業は選任時にこれらの要件を慎重に確認し、適切な人材を配置することが求められるのです。

安全運転管理者の設置義務について

安全運転管理者の設置は、道路交通法第74条の3により定められた法的義務であり、該当する事業所は必ず選任しなければなりません。ここで詳しく解説します。

設置義務が発生する条件

設置義務が発生する条件は、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、または自動車を5台以上使用している事業所となっています。この台数には、原動機付自転車を除く二輪車も0.5台として計算に含まれるため、実際の保有状況を正確に把握することが重要です。

副安全運転管理者の選任

自動車を20台以上使用する事業所では、副安全運転管理者の選任も必要となり、20台を超える場合は20台ごとに1人追加で選任する義務が発生します。たとえば、40台保有している場合は副安全運転管理者を2人選任しなければならないという具体的な基準が設けられているのです。

選任後の届出義務

選任した際は、選任日から15日以内に事業所を管轄する警察署を経由して公安委員会に届出を行う必要があり、この手続きを怠ると道路交通法違反となってしまいます。違反した場合の罰則は、5万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、企業にとって看過できない問題となるでしょう。

退職・異動時の対応

安全運転管理者が退職や異動により不在となった場合も、速やかに後任者を選任し、同様に15日以内の届出が必要です。

アルコールチェック義務の強化

近年では、2022年4月から安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックが義務化され、同年10月からはアルコール検知器の使用も必須となりました。これにより、設置義務を負う企業の責任はより重大なものとなっており、適切な管理体制の構築が急務となっています。

企業は法令遵守の観点からも、安全運転管理者制度を正しく理解し、確実に運用していく必要があるのです。

安全運転管理者の業務内容

安全運転管理者の業務は道路交通法施行規則第9条の10に明確に規定されており、大きく7つの項目に分類されます。

運転者の適性・技能・法令遵守状況の把握

運転者の適性や技能、知識、法令遵守状況の把握が挙げられ、これには定期的な運転記録証明書の確認や適性診断の実施が含まれています。

運行計画の作成

過労運転や無理な運転を防ぐため、適切な休憩時間を含めた運行計画の立案が求められます。

交替運転者の配置

長距離運転や長時間運転の際には必ず交替要員を確保しなければなりません。

異常気象時等の安全確保措置

台風や大雪などの際には運行中止の判断も含めた適切な対応が必要となります。

点呼による安全運転の指示

運転前には必ず運転者の健康状態や酒気帯びの有無を確認することが義務付けられています。とくにアルコールチェックについては、運転前後の確認とその記録を1年間保存することが法令で定められており、検知器を用いた客観的な確認が必須です。

運転日誌の記録

運転者名、運転の開始と終了の日時、運転距離などを正確に記載させる必要があります。

運転者に対する安全運転指導

定期的な安全運転講習の実施や事故事例の共有、ヒヤリハット情報の収集と分析などが含まれます。これらの業務は単独で行うものではなく、相互に関連しながら総合的な安全管理体制を構築するためのものです。

安全運転管理者は、これらの業務を通じて企業の交通事故リスクを最小化し、従業員と社会の安全を守る重要な役割を担っているといえるでしょう。

まとめ

安全運転管理者制度は、企業における交通安全管理の要となる重要な仕組みです。20歳以上で2年以上の実務経験といった資格要件を満たし、5台以上の自動車を使用する事業所では必ず選任が必要となります。選任された管理者は、運転者の管理からアルコールチェック、安全指導まで幅広い業務を担当し、企業の安全運転体制を支えています。法令遵守と従業員の安全確保のため、適切な人材選任と確実な業務遂行が求められます。


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